この記事では、LedgerNanoSTREZORという二大ハードウェアウォレットの比較検討を行います。

「仮想通貨管理はセキュリティが第一。お勧めのハードウェアウォレットはある?」
「ハードウェアウォレット購入を検討しているけれども迷っている」
「ハードウェアウォレットを比較するときの比較基準が欲しい」
という方を念頭においてこの記事は執筆されています。
また、どちらがお勧めなのかということは一義的な正解はなく「人によって何が最適かは違う」という側面があるため、一般的な比較検討をした後はユーザータイプ別に具体的にご説明します。

1.LedgerNanoSとTREZOR(新型、旧型)の比較

仮想通貨のウォレットは大別して以下の2種類があります。
オンラインウォレット(ホットウォレット):インターネットに接続されているウォレットであり、利便性が高い一方でセキュリティのリスクがある。
例)取引所ウォレット、ウェブウォレット
オフラインウォレット(コールドウォレット):インターネットから遮断されたウォレットであり、利便性を多少犠牲にしてもセキュリティを向上させている。
例)ハードウェアウォレット、ペーパーウォレット
また同じオフラインウォレット(コールドウォレット)であっても、また同じハードウェアウォレットであっても設計や仕様の違いにより、犠牲になった利便性の程度やセキュリティの強度は異なります。例えば、ハードウェアウォレットに汎用パーツを搭載しているような場合には、万が一盗難された場合に分解されて秘密鍵が解析される可能性が高まります。したがってハードウェアウォレットといえど「何でもよい」というわけではありません。2018年11月現在日本国内や世界の仮想通貨ユーザーから高い評価を得ているハードウェアウォレットは2つあります。
1つは「LedgerNanoS(レジャーナノS)」であり、もう1つは「TREZOR(トレザー)」です。

LedgerNanoSとは?

LedgerNanoSはフランスのLedger社から発売されているハードウェアウォレットです。

※Ledger社公式ホームページより。2018年11月21日閲覧
※URL:https://www.ledger.com/
対応通貨数は700以上と非常に多く、マイナー通貨にも対応しているのが特徴です。
※ただしネム(XEM)には非対応

TREZOR(新型、旧型)とは?

TREZORはチェコに本社のあるSatoshi Labsが発売するハードウェアウォレットです。

※TREZOR公式ホームページより。2018年11月21日閲覧
※URL:https://trezor.io/
実はTREZORには2018年11月現在「旧型(TREZOR One)」と「新型(TREZOR Model T)」という2種類のモデルがあり、並行して販売されています。

TREZOR Oneについて

TREZOR Oneは500種類以上の仮想通貨に対応しているのですが、リップル(XRP)には非対応な点には要注意です。また、新型(TREZOR Model T)よりも1万円ほど安いのが特徴です。

※TREZOR公式ホームページより。

TREZOR Model Tについて

新型TREZOR(TREZOR Model T)は、ハードウェア面およびソフトウェア面で改良を施し、利便性とセキュリティを向上させたほか、TREZOR Oneで非対応だったリップル(XRP)などにも対応しています。一方で価格はLedgerNanoSやTREZOR Oneよりも1万円ほど高くなっています。

※TREZOR公式ホームページより。

比較の4基準~「セキュリティ」「対応通貨」「サポート」「互換性」~

複数のハードウェアウォレットを比較するにあたり、重要な要素は4つあります。
まず「セキュリティ」を重視した設計かどうかは、ハードウェアウォレットの存在意義ともかかわるといってよいでしょう。
第2に「対応通貨」一覧の中に、自分が(現在または将来)保管したいと思っている通貨が含まれているかどうかも大変重要です。
第3に「(日本語)サポート」が充実しているかどうかも、ビギナー~初心者の方には重要でしょう。
最後に他のオンラインウォレットとの「互換性」があれば、利便性を向上させることができます。

ハードウェアセキュリティの意義と限界

ハードウェアウォレットのセキュリティにとって重要な要素は「ハードウェア・ソフトウェア設計」「各ユーザーのリスク管理」の2つです。
前者の「設計」について。
LedgerNanoSも新旧TREZORもまた、ハッキングされたり物理的に分解&解析がされたりすることを防ぐため、独自のハードウェア・ソフトウェア設計を行っています。
例えば新旧TREZORはパーツに汎用品ではなく独自に設計したものを採用し、また秘密鍵を特殊チップに保存することで「耐ダンパー性」を備えています。
そして、万が一パソコンがハッキングORマルウェアに感染している場合に備えて、PIN(暗証番号)の入力はすべて各ハードウェアウォレット上でのみ行え、PINが入力されて初めてインターネットに接続されるという設計がなされています。
したがって、殊セキュリティに関する設計面ではLedgerNanoSも新旧TREZORもいずれも高いレベルでまとまっているといえ、両者の違いはあまりないといえます。
ただ、設計面でのセキュリティが高いとはいっても「各ユーザーのリスク管理」がずさんであった場合は、簡単に仮想通貨は流出・盗難されます。
例えば「PINを人目につくところで入力している」「リカバリーフレーズをメモした紙とウォレット本体を同じ場所に保管している」といった場合は、いくらハードウェアの設計が優れていても意味がありません。
なので設計面でのセキュリティが高いハードウェアウォレットを選びながら、各自のリスク管理も徹底することが重要です。

対応通貨・トークンはアップデートで増加する可能性

対応通貨・トークンはLedgerNanoS及び新旧TREZORはいずれも多いレベルでまとまっています。ただ、いずれもすべての仮想通貨・トークンに対応しているわけではありません。購入にあたっては各製品の公式ホームページを訪問して、最新の対応状況を確認する必要があります。
参考(各公式ホームページ、英語):
LedgerNanoS対応通貨一覧:https://www.ledger.com/pages/supported-crypto-assets
新旧TREZOR対応通貨一覧:https://trezor.io/coins/
2018年11月22日最新のファームウェアにおいて比較すると、LedgerNanoSが700種類以上に対応と最も多くの対応をしています。但し、XEM(ネム)には対応していない点は要注意です。
一方で新旧型ともXEM(ネム)に対応しているTREZORですが、対応通貨数は500種類程度とLedgerNanoSと比べれば少なく、具体的にはリップル(XRP)やモネロ(XMR)には対応していません。その非対応例を補っているのが新型のTREZOR Model Tです。
また、対応通貨・トークンはファームウェアのアップデートによって各々増加しています。執筆現在では対応していないものでも、のちに対応している場合があるので最新の情報を必ずテックしましょう。

日本語サポート「電話」「メール」「チャット」は可能か?

「買ってはみたけれども導入方法がいまいちわからない」というビギナー~初心者の方は多いはずです。
インターネット上の記事やオンラインマニュアルにもそれなりの解説がされていますが、個別具体的な問題はやはりサポートに問い合わせたほうが早いです。
LedgerNanoSにしてもTREZORにしても販売元は外国なので、日本語サポートを受けるためには日本の正規代理店から購入する必要があります。
日本正規代理店は、以下の通りです。
・LedgerNanoS:ハードウェアウォレットジャパン
Ledger日本正規代理店 ハードウェアウォレットジャパン 【日本語サポート】
・新旧TREZOR:MyHardwareWallet
TREZOR紹介用URL 480×100
Amazonやヤフオクなどからも購入することはできますが、この場合には「サポートを受けられない」「模造品・偽造品・改造品を送り付けられることがある(仮想通貨の盗難リスク)」などのリスクがあります。

オンラインウォレットとの互換性は意外に重要

ハードウェアウォレットは、ある程度利便性が犠牲になっています。
しかし、その欠点は互換性のあるウェブウォレットと連携することである程度解消可能です。
例えばLedgerNanoSはMyEtherWalletと互換性がありますが、同ウォレットはイーサリアムを活用したトークンのICOやAirdropに参加するためには非常に便利です。
各ウェブウォレットとの互換性は、小括の表をご参考ください。

「価格の安さ」はハードウェアウォレットのメリットにはならない

LedgerNanoSと新旧TREZORを価格が安い順に並べると、次のようになります。
・TREZOR One:9,800円
・LedgerNanoS:12,490円
・TREZOR Model T:21,800円
※いずれも2018年11月22日時点での正規代理店における価格(税込み)
しかし、ハードウェアウォレットにおける価格の安さはそれほど重要な要素ではないとみています。ハードウェアウォレットは品質が極めて重要だからです。 したがって、価格というよりは他のスペックをみて判断されることをお勧めします。

ハードウェアウォレット比較表

LedgerNanoSと新旧TREZORは、セキュリティ・日本語サポートそして他のウォレットとの互換性では同レベルだといえます。最大の違いは対応通貨・トークンです。自分が保管したいと思っているものに対応している方を購入すれば、スペック面で困ることはないと思われます。

セキュリティ 対応通貨・
トークン
日本語
サポート
他ウォレットとの互換性
TREZOR One 秘密鍵を特殊チップで保護

独立端末に
よる管理
500以上
※非対応例
XRP
XMR
ZEN
ADA
正規代理店による、
LINEサポート
MyEtherWallet
Mycelium
Nano Wallet
Electrum
TREZOR Wallet
など
TREZOR Model T 上記

タッチスクリーン搭載
上記

上記非対応例にすべて対応
同上 同上
LedgerNanoS 秘密鍵暗号化

独立端末よる管理
700以上
※非対応例
XEM
正規代理店に
よる、
専用ダイヤル&チャット&
LINE&メールサポート
MyEtherWallet
Electrum
Copay
Mycelium
BitGo
GreenBits

※2018年11月21日執筆時点の情報です。
※日本語サポートの付帯やその種類は、購入代理店ごとに異なることがあります、

各ウォレットのAmazonレビューとその補足

実際の購入は正規代理店でされることをお勧めしますが、参考になるのはAmazonのレビューです。以下、LedgerNanoSと新旧TREZORのAmazonレビューと補足をご紹介します。

LedgerNanoSのレビュー

やはり目立つのは、対応通貨の多さについて好感を持っているレビュアーです。

※Amazon公式ホームページより(2018年11月22日閲覧)以下、同じ。
2018年11月現在、時価総額の多い順に「ビットコイン」「イーサリアム」「リップル」が世界三大仮想通貨だといえますが、LedgerNanoSはこれらすべてを保管できます。
ただし、このとき(2017年12月投稿時)はTREZOR Model T(2018年2月販売開始)はありませんでした。
現在では、LedgerNanoSとTREZOR Model Tが「ビットコイン」「イーサリアム」「リップル」に対応しています。

TREZOR Oneのレビュー

TREZORの使用感について好感を持っているレビュアーです。

補足すると、旧型TREZOR(TREZOR One)にもディスプレイはありますが、新型(TREZOR Model T)と異なりタッチパネルではありません。また解像度も異なります。
そのほかPINの入力可能数値に「0」がないなど、新型との違いは細かいところにあります。

TREZOR Model Tのレビュー

日本のAmazonにはまだレビューがなかったので、Amazon.comの英語レビューをご紹介します。

訳「クラス中最高:私はこの小さな宝石が大変気に入っています。非常に使い勝手が良いです。CIAの機器を持っているような感じです。すべてのハッキング手口はこのデバイスのセキュリティを突破することを考えてきましたが、突破することは不可能です。これは、連邦金塊貯蔵庫並みです。私はまた重要なパスワードを保存するために、パスワードユーティリティを利用します。ビットコインは安全です。パスワードは安全です。私は安全です。」
TREZORの最新機種は常にハッカーによる「モデルケース」とされていることが分かります。ですが、そのセキュリティは堅牢で(ユーザーの過失がない限りは)破ることは非常に困難であるということです。
したがって、ユーザーはこのセキュリティ設計を無駄にしないために「PINの保管」「リカバリーフレーズのメモと保管」を徹底する必要があるといえます。

ユーザータイプ別「ハードウェアウォレットの選び方」

事実上ハードウェアウォレットはLedgerNanoSか新旧TREZORの2択(3択)です。そして、選ぶ基準は「対応通貨・トークン」であるといえます。したがって、仮想通貨の世界にどの程度習熟しているかによって、お勧めの製品は異なります。

国内取引所でメジャーな仮想通貨のみを取引する方

ビットフライヤーなど国内取引所でメジャーな通貨のみを取引される方は、LedgerNanoSがお勧めです。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)という世界三大仮想通貨に対応しているからです。
※ただし、ネム(XEM)など国内の取引所で取り扱いのあるマイナー通貨には非対応なことがあります。

海外取引所も含めて幅広く仮想通貨を取引する方

BINANCEなど海外取引所で幅広く仮想通貨を取引される方は、対応通貨の多いLedgerNanoSとその非対応部分を補うTREXOR Model Tとの両方(つまり合計2個)を購入されることをお勧めします。
もちろん両方のいずれにも対応していないマイナー通貨・トークンは存在しますが、今後のファームウェアップデートにより対応通貨はさらに増えることが予想されます。

取引所のみならずICOやAirdropも積極的に利用する方

取引所に上場している銘柄のみならず、ICOやAirdropといったさらにマイナーな通貨も管理したいという方は、「対応通貨」に加えて「対応ウェブウォレット(互換性)」に注目するとよいです。
特にMyEtherWalletは、ICOやAirdropにとって重要なウォレットになりますが、LedgerNanoSと新旧TREZORはいずれも互換性を持っています。
ですので複数の仮想通貨・トークンを保管することを考えて、LedgerNanoSと新型TREZOR(TREZOR Model T)を2個ずつ、合計4個購入されることをお勧めします。

まとめ

いかがだったでしょうか。
LedgerNanoSと新旧TREZORはいずれも優れたハードウェアウォレットです。
どちらを購入されるとよいのかは場合によりますが、いずれの場合であっても優秀なセキュリティ設計を無駄にしないために各自で行うセキュリティ対策はぬかりなく行うようにしましょう。